四寺廻廊 ジジイのたわ言
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ちなみに、この酒は?と、婆さんに尋ねる。
目を合わせず外の通りを見ながら、「月桂冠」と、ぶっきらぼうに答えた。
やっぱな、旨い、灘の酒は旨いと、したり顔でおっさん。
「京都、、月桂冠は京都・・・」と、面倒くさそうに、また、婆さんが云う。
それを聞いて皆、爆笑。まるで上方漫才の掛け合いだ。腹を抱えて笑ってしまった。
灘の酒も伏見の酒も一緒、旨いもんは、旨いと笑いながら言い返す。
婆さんと云えば面白くもなさそうにチラッとこちらを見ては、また顔を外の通りに移す。
高松は水が悪いけん、ブスばっかだ。日本三大美人の秋田・京都・博多は、銘酒が生まれている処だ。 それは水が良いんだ。水がいいから美人が多いんだ、と、 おっさんのほろ酔い加減に康応するかのように言うと。
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おっさん笑いながら、そやそや、高松はな、あかんわ、ため池の水では、あかんわナ~、濁っとる。 と、大きく首を縦に振りながら笑い転げた。
その後は暫し酔いに任せて、おっさんの酒の席での話を聞かされた。
会社帰り、同僚と酒をたらふく飲んで自転車で二人乗り、 用水路に頭から突っ込んで全治一ケ月で入院した事。
スナックのカウンター、ママさんと対面でウイスキーを飲んでいると、 戻しそうになり慌てて手で口を塞いだが、時すでに遅し、口を塞いだ手の指から吐いた物が、 ママの顔に鉄砲水の如く命中。怒ると思いきや流石に客商売のプロ、いいよ、大丈夫よと、 云って顔を拭いていたが、やっぱ顔は引きつっていた、とか。など自慢話を聞かされた。
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[四寺廻廊] 2018.5.13